その木が登れと呼んでいる(Days of Being Wild)

誘われるように足をかける木製の階段。息を切らしたその先の、窓から見えるその景色。隣の友は、今はもう。

突然であれですが、浜田山時間ってご存知ですか？ご存知ないですか。それもそのはず、私が勝手に名付けたわけですから、それもそのはずです。京王井の頭線浜田山駅。駅階段を、いつものように足早におりれば。感じる違和感。階段をおりる方々一様に、その歩みはゆっくりで。同じ井の頭線でも、永福町やら久我山駅とは、ちょっとその歩の速度が違う。浜田山駅を利用する方には、独特のたおやかなペース感があるのでしょう。もちろん、私の個人の見解ですが。見解なのですが。どうでしょう、駅南側の景色。物件近くの柏の宮公園。冬枯れの景色がまた、良い。なるほど、浜田山時間というのは、こうしたのどやかな風景が醸し出す何かなのかもしれません。

などと思っていたら、辿り着く募集の建物。実のところ、募集の情報を見た時、あまりに建物の正面の雰囲気が良くて、内観の情報がなったくなかったのですが、撮影しよ、って思いました。だって、木。

外階段がなんとなく、マイアミを思い出しませんか？思い出しませんか。そうですか。2階のお部屋が募集のお部屋です。

募集の2階のお部屋、1フロアに1室のみ。木造ですが、上階がなく、同じ階にお部屋がない、というのは嬉しい。大変に、嬉しい。ということで、玄関です。玄関通路に窓があって、採光面で有難いですね。

それで、これはなんの自慢でもないのですが。内観の写真が事前に手元になかったので、一か八かの撮影だったのが。しかし、雰囲気的に、これはきっと素敵物件ね、などと思って室内に入ったのですが。今日は自分で自分を褒めてあげたくなりましたね。天井が広くて、1Kの間取りですが、室内広々ということで。へへ

振り返ってみれば。おやまあ。天井が高くって、まあ素敵。思わず飛び跳ねたことは、ここだけの内緒の話です。

それで、やっぱり一番気になる、例の木。奥へ進むと、見えましたね。

もう少し、寄っていいでしょうか。

所々塗装のはげた木製のパーテーション。目の前の緑。リラックスできるほどの奥行きあるバルコニーではないですが。良い。緑が間近にあるバルコニーは、大変に良い。

なんなんでしょうね。木目が、ピッと揃っている、そして特徴的な模様を織りなす建具。このお部屋の、隠れたヒーローだと、私は思っています。

冷蔵庫どこに置きましょうね問題は、相も変わらず発生しておりますが。冷蔵庫は居室側に逃すとして。コンロはガス1口。手元に窓があるのが嬉しい。

ティシューがピロンと垂れておりますが。傾斜天井のお手洗い。全く、全く高さは気になりません。そもそも、天井高いですから。誰かが残した、ハイター

浴室とお手洗いが別。ありがとう。窓もある。うれし。それで、浴室手前の壁面に残された木質のサムシング。かわいい

それにしても、収納のキャパシティがまたすごいよな、などと思えば。視線を遮る何か。

なるほど。登れと言うわけですか。上を見上げれば、たしかに何かがありますね。ところで私が高所恐怖症と知ってのことでしょうか。

息を切らし辿り着くロフト。天井は低く、立つことは難しそうです。といいますか、中腰でした。

それで、木の階段を登って、ほっとしたのか、思わず窓の外を見て。

なんなら、窓から身を乗り出してみて。広がる空を見てしまいましたね。それにしても、なんでしょうね。子供の頃の木登りを思い出しましたね。葉から漏れる光を頼りに、上へ上へと進み。頃合いの木の幹に落ち着いて。広がる空を見て。下から登ってくる当時の相方に野次を飛ばして。改めて上を見上げて確かめる、年端もまったくいかない子供が初めて手に収める自由。この部屋でそんな感覚になるなんて、きっと例の木が登れと言ってくれたからでしょうね。

やれやれ。なかなか味わい深いお部屋だったわ。それにしても、建物の外階段、のぼる時に、トントン、と足音がするわね。仕事の都合で、夜遅くに部屋に戻る機会が多い方におかれては、下の階の方に足音聞こえないか、ちょっと気になるかもしれないわね。などと思いましたね。そのあたり、気遣いながら階段をのぼって頂くほかないわね、などと、そんなことを思いながら、浜田山駅前の商店街を歩いてみましたね。

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