【募集終了】気付けばふたり、よこならび

地階のリビング。一段降りたその空間、眼前には専用のテラスと緑。パジャマのままで、コーヒー片手に横並ぶ朝。あるいは、各々の今日が過ぎて。その日を労うひととき。壁際に置いたソファに座って、お目当ては、ソファの対面の壁面に設置したスクリーン。暖かなティーでも手に、気付けばふたり、寄り添い眺めるキネマ。

そんなシチュエーション、ないでしょ。みたいなツッコミ、甘んじて受け入れたいところで。妄想したって、いいじゃない。物件所在は、荻窪駅を北側に進んで。環八通り沿いを脇に入った住宅街。環八。あれだけ交通量あるのに、ちょっと脇に入ると閑静。不思議。募集の物件は、コーポラティブハウス。出ましたね、コーポラティブ。ひと時話題になったやつですね。今回募集のお部屋は、オートロックのエントランスを入って、一度階段で地下1階におりた先に玄関が。地階の玄関ゆえの、光の遊び。好き。

玄関ドアを開けると、視線の先の光。手前の両脇をみれば、姿見、収納。撮影当日は通電がなかったため、若干暗めです。

やはり、この螺旋の階段を従えた窓際のリビング。鳥のさえずりが聞こえましたので、天気の良い日の朝なんかは、もちろん心地が良いのでしょうけれど。雨がテラスのコンクリート壁面をつたう日なんかも、なかなか味わいがある光景だと思うのですが、どうなんでしょう。

テラスなのですが。もっさりと、お気に入りの植物と壺置けば、大変にココロオドル気もするのですが。注意点としては、両隣のお隣さんから丸見え、ということです。洗濯物を干すポールをかけられるものの、プライバシー気にされる方は、ちょっと工夫が必要なテラス空間。片方のお隣さんは、割とファンキーに洗濯物干してましたけどね。どうなんでしょう。慣れの問題ですか。

いろいろなお部屋を覗いて、やー素敵。わーカワイイ。などと言えるのが、この営みの醍醐味のひとつですが。こと、こちらのお部屋に至ってはですね。この螺旋の階段。のぼりたくなりますよね。歩みを進めて、螺旋の頭上を見上げれば、光。この、2階の踊り場が、一番好きな場所でしたね。だってですよ。うっすらと見える緑。柔らかな光。良いじゃないですか。

緑と光に誘われて、インするは10.39帖の洋室。南向きですか。隣地の建物があるため、眺望は望めませんが、しかし光は室内に十分に取り込まれて。一部壁面の流形、縦長のスリット。キングサイズのベッドでも置いて。あれですよね。夜の頃に灯す読書灯。ふたり横並びで眺める書籍。いつも海外の映画で見る、あれ、出来そうですね。

白状して良いでしょうか。私、このお部屋、掲載を見送ろうと思ったのです。なぜか、ですって？　だって、管理費込みで、月々21万円を支払える資力があって。そこに来て、荻窪のこの場所に、この空間に住もう。そう思う方って、果たしてどんな方？ そう思ったのです。ペルソナが想定できない以上、紹介文をどう書こうが、空を切るようなもので。でも、思い直したんです。いえ、思い直させてくれたんです。このリビングの光景が。気付けばふたり、よこならび。もう、それで良いじゃない。お客様がいるのかどうか、そんなチンケな事、もうどうでも良いじゃない。そう、思ったんですよね。と、いうわけで。

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