TOKIOでない、どこか

東京都から程近い埼玉県所沢市。ここに、おっ、と思わされた改装内容のアパートがありました。物件の所在地は所沢市北中。西武線沿線に作られた郊外の住宅地、という風情の一角に立つ白い外壁の2階建アパート。なんてことはない木造アパートではあるのですが、外階段のくすんだブルーやDAIKENのステンレスのゴミ箱が、おおっと思わせてくれます。

募集の物件は外階段を登った2階角部屋の一室。THE木造アパートな玄関を開けると、東京のどこかのリノベマンションか？と見まごう印象。ラワンの色味が良い感じの下足入れ。壁には有孔ボードが。土間コンがまた味ありますね。玄関から見えるキッチンがまた良い仕様で、天板はバイブレーション仕上げのステンレス仕様。ラワンにステンレスの組み合わせは間違い無いやつですね。2口ガスコンロが設置されているので、これは料理の時間が楽しくなるやつです。

キッチンを抜けると洋室が。決して広いとは言えない空間ですが、2階建の2階のお部屋ということで、天井の高さが開放感あります。上を見上げると建屋の梁でしょうか、古材の感じが改装の内容とマッチしてカッコ良いですね。スイッチ類については、アメリカンスイッチでまとめられていて、えー所沢の決して中心地ではないこの場所にこの仕様を、という思いがふつふつと。浴槽はなく、シャワーのみ、という点と、木造の建屋、という2点がちょっと気になるところですが、こちらのお部屋のお家賃は共益費合わせて6.0万円。それでこの仕様の居住スペースに暮らすことができると。しかもWi-Fiも利用可能。

COVID-19により生活様式が変わりつつある方もいらっしゃるかと思います。新たな住処を探す際、東京に住む必要ってあるんだっけ、そんな事を感じている方もいらっしゃるかもしれません。じゃあ東京ではなく、どこへ？その選択肢の一つとして、所沢、という選択肢もあるかもしれません。

所沢って、東京みたいに文化的要素はあるのかって？ありますね。新所沢駅前には若き店主のフラワーショップが、所沢駅前は実はコーヒースタンドが複数店舗あって。西所沢には暮らしの編集をテーマに活動されている方もいらっしゃいますね。倉庫を複合施設にコンバージョンした場所もありますね。去年は残念ながら見送りとなりましたが、地域の手仕事を紹介する暮らすトコロマーケットも開催されてますね。

東京の醍醐味は赤提灯のハシゴですが、所沢に赤提灯はあるのかね、ですと？ありますね。所沢には盃横丁が。

友達は皆東京住みなのですが？そうですよね。ドアドアで1時間半くらいですかね、東京の主要エリアまでは。こればっかりは如何ともし難い。もうそこは割り切って、所沢エリアでコミュニティ作っちゃう方向で如何でしょう。自転車でキャンプ場行けますからね。川原で焚火できますからね。代々木公園より広い公園もありますからね。何よりも、東京は何でもありますが、所沢は(比較的)何もない、がありますからね。自ら作っていく楽しみ、ありますからね。

“TOKIO 哀しい男が吠える街”と歌ったのはジュリーですね。今もTOKIOは火を吹いて闇を裂くスーパーシティである事は間違いないわけですが、どうでしょう、環境の変化により暮らし向きを再考している方、TOKIOでないどこか、って手もありますよ。

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