ビターに恋して

図らずも住む部屋の空気感が生活や意識に影響を与えることってありますよね。抜け感ある眺望だと気分が高揚する、みたいなところから、落ち着いた色味の内装が気持ちに平穏をもたらす、みたいな。それが例えば、ダークブラウンの建具が設えられていて、壁面の所々に可愛らしいストライプ柄のクロスが貼られている部屋だとして。それは、ただ可愛いってわけじゃなくて、ヨーロッパ方面の、お洒落なんだけど甘すぎない。自立しているんだけど、夢を見ることだってもちろんある。そんな感じ(どんな感じ?)のマインドセットに導かれそうなお部屋が本日ご紹介をしたい物件。

対象の物件は1971年生まれの49歳の共同住宅。1階の管理人室のあるエントランスの床がレトロに良い味を出しています。エレベーターで6階に上がってお部屋にイン。改修済みの室内は、とても、とても綺麗にまとめられていて古さを感じさせません。とはいえ共用部の窓のサッシなんかは古さは残りますが、細かいことは気にしちゃいけません。ちなみに玄関すぐ脇には、3つの収納ボックスが。これ多分シューズボックスなんでしょうけど、おそらくすごい収納量。靴マニアにはたまらないのかもしれません。室内進むと、ダイニングと奥に洋室が1部屋。部屋全体は建具がダークブラウンでまとめられていて、壁面クロスは主にアイボリー調の凹凸あるタイプ。これがなかなかどうしてしっくりきます。なんかいいかも。

それでダイニングの壁面はグレーのストライプ地アクセントクロス。ついでにトイレと洗面も太めなストライプ地のクロス。こうして部屋全体を振り返ってみるとですよ。印象としてはビターでほろ苦くもあり、それでいてちょっとした甘さも残っている。どうしたことでしょう、どうにもパリの香りがしてくるのです。

そんなバカな、と思うなかれ、です。これきっと、物件所在地の明石町というエリアが関係しているのだと、私は思うのです。明石町、ご存知ですか？中央区が誇る。いえ、東京が誇るパリ風味香るナイスエリアです。周辺の聖路加国際病院の建屋の感じだったり、気品感じる街路樹だったり、それと周辺のマンションも景観に配慮してか落ち着きある様式を保っていて。通りの名前も居留地通りということもあり、過去の舶来の関係があるんでしょうね。とにかくですね、通りを歩けばヨーロッパ感じる素敵な街なんですよね。

そこにきて、こんなビターでちょい甘なお部屋と来るものですから、否応なしにお部屋で寛ぎながらエスプレッソでも飲みたくなりますよね。夜はシャンソンで決まりですよね。たまの休みの日には通りに出て、バゲット入れた袋片手にコーヒーでも。多分３割増でコーヒーが美味しく感じられるはずです(個人の見解です)。なお、物件近くには築地川公園という細長い公園があるのですが、これがまた気持ち良い。最近の工事で大幅に清潔感が上がったのですが、ベンチに座って街を眺めれば、もう女と男のいる舗道です。ゴダールですね。

明石町って東京駅にほど近くて、他方月島・勝どきへもすぐに行けてしまう結構すごい場所なのですが、土地柄ちょっと居住コストがはるからですかね、あまりフィーチャーされてない気がするのですよね。でも、ほんとにすごい気持ちの良いエリアですので、住まないまでも散歩くらいはして頂きたい、そんな風に思います(もはや何屋なのかわかりません)。

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さて、ここから先はマンションの屋上がどうにも気になってしまう個人による、ごく私的なブログの類としてお読みください。不動産の仲介云々の立場とは一切切り離した独り言です。

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マンションの屋上って、やけに気持ちが良いこと、多くないですか。広大な敷地に立つ大規模マンションだったりすると、その分屋上も広かったりして気持ちが良い空間なのですが。まるで空を独り占めするような、外界と切り離されるような、なんとも言えない感情が沸き起こる場所、屋上。それでですね、この物件にもですね、屋上、あったんです(当然ですが)。募集のお部屋は6階なのですが、出来心でエレベーターの10階のボタンを押してみたんですよね。10階って最上階なんですよね。どうして？匂ったからです。屋上の。屋上の匂いが。チーン、10階。？　普通に6階と変わらずの、外廊下があって、各お部屋があって、ということで。あれ、と。でもですよ。かたわらには階段、ありましたよね。これ登ると、きっとありますよね。ありましたね、屋上に繋がるドアが。開けましたよね、ドアを。ほら、すごい。すごい広い屋上が。床はグレーのリノリウム。学校の屋上のあれです。見上げればあり得ないくらいに眼前に迫る分厚い雲。聖ルカ礼拝堂の十字架。ついに見つけましたね、これはあれです、ラファイエットの屋上から見下ろすオペラ・ガルニエ前の広場と見まごう感じです。言い過ぎかもしれません。とにもかくにも、東京にありました、パリが。とてつもない収穫です。月に一度は訪れたい場所です。　それでですね、これはブログです。募集のお部屋に屋上が付いている、などとは申しておりません。ただ単に、素敵なお部屋のあるマンションの上を目指したら、これまた素敵すぎる屋上があった。ただその事実だけを私は記載したまでです。ただそれだけです。

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